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評論・エッセイ

ナポリタンのある街

 京都の堺町三条にあるイノダコーヒー本店のメニューに、イタリアンという名のパスタ料理が載っている。注文するとテーブルに届くのは、少なくとも僕にとっては、どこからどう見ても完全にナポリタンだ。ナポリタンとイタリアンはどう違うのか、と「いかなる理由でナポリタンなのか」という文章で書いたが、両者はまったく違わない、と言っていいのではないか。関東ではナポリタンと呼ばれているものが関西ではイタリアンなのだ、という説をかつてどこかで聞いた。
 イノダコーヒーでこのイタリアンを最初に食べてから、かなりの年数が経過している。ひと頃はよく…

底本:『ナポリへの道』東京書籍 2008年

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