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評論・エッセイ

元帥とイタリア風のスパゲッティ

 一九四五年(昭和二十年)八月三十日、日本を占領する連合軍の総司令官、ダグラス・マッカーサー元帥とその一行が、フィリピンから神奈川県の厚木飛行場に到着した。当初の予定では八月二十八日に日本へ来るはずだったが、その日の日本には熱帯性低気圧が接近していて気象条件が悪く、三十日に延期されたのだった。
 厚木に降り立った元帥たちのコンヴォイは、そこから横浜のホテルニューグランドへ向かった。仮のGHQ(ジェネラル・ヘッドクオーターズ)がこのホテルに設営されたからだ。元帥自身は三日間だけそこに宿泊したのち、皇居の日比谷濠に面して建つ…

底本:『ナポリへの道』東京書籍 2008年

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