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評論・エッセイ

ハッピーコートの銀座

 法被あるいは半被と書いてハッピと読む。日本語だ。下級武士が多く着用していたという。その様子はひとつの典型だったのではないか。裾の短い上着だ。胸紐はなく広袖で、ただはおればそれでよかった。
 太平洋戦争に大敗した日本がまだ連合軍によって占領されていた頃、音声としてのハッピに英語のハッピー(幸福)を掛け合わせ、ついでにコートをつけてハッピーコートとして銀座のPXで売ったら、日本を占領するために駐留していたアメリカの兵士たちに人気が出てよく売れたという。故国へ帰還した彼らが、親しい人たちに進呈したもっとも簡便で廉価なオリエン…

底本:『銀座百店』2018年2月号

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