VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

パペーテ空港の夜

 晴れた日の午後一時すぎにホノルル空港のはずれから飛行機に乗った。小型のプロペラ機、という言いかたのまさに当てはまるような飛行機だった。ディハヴィランドのなんとかという機種だったが、正確には覚えていない。なにしろあと数年で半世紀も前のことになるのだから。
 ホノルルからタヒチへ向かった。七時間以上かかったような気がする。僕の座席は機体のまんなかあたりの窓ぎわで、肘を置くのにちょうどいい台のようなスペースが窓ガラスのこちら側にあり、そこにさまざまに腕や肘を載せて、時には窓ガラスに額をつけて、眼下の海ばかりを見ていた。南太平…

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