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評論・エッセイ

古書店で『映画の友』を買い集める

『映画の友』という雑誌があることは、子供の頃から知っていた。自分ひとりで書店に入るようになってからだから、子供とは言ってもすでに十歳は越えていただろう。その頃に『映画の友』は刊行されていたかどうか。子供の頃の記憶をいまたどりなおすと、前後で五年くらいの誤差はたやすく生じる。
 子供の頃の僕は映画が好きだった。映画館へいって入場料を払い、スクリーンに投影される作品を椅子にすわって観るのが、僕にとっての映画のすべてだった。だからその現物ひとつひとつの映画とは離れたところで、映画についての雑誌が月刊で成立するというしかけが、ま…

底本:『21世紀の淀川長治』キネマ旬報社 2016年6月

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