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評論・エッセイ

世界はすべて片仮名のなか

 日本語には片仮名という書きかたがある。どんな外国語であろうとも、おおよそのところでよければ、その音を片仮名で表記することが、じつにたやすく可能だ。僕の好きな冗談のひとつに、全篇を片仮名書きした『風とともに去りぬ』というものがある。『風とともに去りぬ』の全篇を片仮名書きすると、すべての日本人が、原文の音のままに、『風とともに去りぬ』を最初から最後まで、完全に読みとおせる。片仮名の使いかたを少しだけ工夫するなら、そして声に出して読むなら、それはたいへんに格調の高い朗読となる可能性だってある。
 自分の国の文字を使い、まった…