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小説

灰皿から始まる

灰皿から始まり、やや遠くまで歩く

劇作家であり、小説家でもあったチェホフは、かつて
「ぼくは何でも書く。目の前に灰皿があれば灰皿の短編を躊躇無く書く」と言い、これはチェホフの創作に対する考え方を端的に表現したエピソードとして知られている。この片岡義男の短編は、まさにそのようにしてできた作品ではないか。
目の前に灰皿があれば、あとはそこに人物を配し、場所を設定し、どんな季節か、どんな身分か、といった要素が加味され人物の過去なども語られると、なおも作品はおもしろくなる。灰皿から始まって、読者はなかなかに遠くまで行くことができるのだ。

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