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エッセイ「やがて、模型(プラモデル)たちが語りはじめる」第3回を公開

模型専門誌「月刊モデルアート」(モデルアート社)臨時増刊号『M-CATS』(エム・キャッツ)連載のエッセイ「やがて、模型(プラモデル)たちが語りはじめる」の第3回を公開しました。単行本未掲載の作品です。

 ロッキードのスーパーGコンステレーション。愛称をコニーという。この大変に美しい旅客機が離陸していく様子を、僕は子供の頃に羽田空港で何度か見ている。三本の垂直尾翼という特徴は、当時の僕のようなぼんやりした子供でも、記憶に残るはずだ。これが記憶に残らないような子供は、大人になってもあまり当てにはならないように思う。僕はかろうじて合格だ。大西洋をノン・ストップで飛んでしまうコニーは、それまでの大西洋航路の豪華客船を、過去のものにした。ロッキード・スーパーGコンステレーションのプラスティック模型キットが、何種類か僕の手もとにある。箱の絵や写真を眺めながら、機体の造形の美しさとあわせて、いまあらためて僕が確認するのは、機体造形のこれだけの美しさを可能にしている、開発当時のアメリカが未来のなかに見ていた、輝かしさだ。

(『エム・キャッツ』第4号[2001年11月]掲載)

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2025年10月10日 00:00 | 電子化計画

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