VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

お知らせ

音楽タイトルを探せ!

 『いとしのレイラ』『サマー・タイム』『なみだ恋』『テネシー・ワルツ』『ラム・アンド・コカコーラ』……これ、すべて片岡義男の短編作品のタイトルです。でも、どこかで聞いたような気もしませんか? そう、実はこれらはすべて音楽の曲名から「借用」したものなのです。前述したタイトルは順番にエリック・クラプトン、ビリー・ホリディ、八代亜紀、パティ・ペイジ、アンドリューズ・シスターズの曲として知られているものです。

 このように片岡義男の作品タイトルには、既存の音楽の曲名から流用したものがいくつかあります。おそらく一番有名なのは10ccの『人生は野菜スープ』(Life Is a Minestrone)ではないでしょうか。他にも『物のかたちのバラッド』(ザ・キングストン・トリオ:The Ballad of the Shape of Things)や『夕陽に赤い帆』(ザ・プラターズ:Red Sails in the Sunset)、『ボビーに首ったけ』(マーシー・ブレーン:Bobby's Girl)、『エリザベス・リードを追憶する』(オールマン・ブラザーズ・バンド:In Memory of Elizabeth Reed)など、洋楽に多少なりとも詳しい方なら他にもいくつか見つけられることでしょう。

 7月21日に96歳で亡くなったアメリカのポピュラー歌手で、エンターテイナーとしても活躍したトニー・ベネットの『Yesterday I Heard The Rain』もそのひとつです。タイトルはずばり『昨日は雨を聴いた』

 昨日は雨を聴いた 表紙

 この物語では、主要な登場人物である男性が、地方へ出かけた際に会話の相手から東京の天候を聞かれ「昨日は雨の音を聴いていました」と、答えます。しかし、必ずしもタイトルやその音楽がそのまま本編に登場する作品ばかりとは限りません。

 ちなみに片岡義男本人によると、小説は題名が最初に決まっていて書く場合と、題名が決まらずに書き始める場合とが半々くらいなのだそうです。残念ながらこの『昨日は雨を聴いた』がどちらだったのかはわかりません。タイトルに音楽の曲名が使ってあったとしても、作品を読みながら「このタイトルの意味は……」などとあまり深く考えたりなどしない方がよいのかもしれません。

 読者の皆さんはどんなタイトルがお気に入りでしょうか。「私はこの曲名の作品が好き」というものがあれば、ぜひ教えてください。

2023年7月28日 00:00 | 片岡ニュース

このエントリーをはてなブックマークに追加