短編小説『オーシャン・パシフィック』を公開
短編小説『オーシャン・パシフィック』(『宝島』JICC出版局/1977年11月号掲載)を本日公開しました。単行本・文庫本未収録の作品です。
太平洋に浮かぶ、かつてはとても良い波が来ていたという、小さな島へ遊びに来たマリアとプロサーファーの秋彦。ドライブ中に偶然見つけた「お客が3人以上いれば映写をする」という映画館で上映中のサーフィン映画を観るため、海でたったひとり泳いでいた男をピックアップする。彼の名はドノヴァン、上映中の映画を撮った本人だった。ドノヴァンはこの映画の舞台となった南太平洋の珊瑚礁の島に1年間、1人で住んでこの映画を撮ったという。その島の環礁ではサーフィンにとって理想的な波が、毎日同じ場所に同じようにできるという。湘南に帰ってからも、いつも幻のように現れては秋彦を誘うその波の「自分に呼びかける声」を聞いた秋彦は、その島へ行く準備を始める。サーファーを強烈に惹きつける南の島の波の誘惑を、過酷な現実も余さず描いたサーフィン小説。
2023年6月23日 00:00 | 電子化計画