「こんな読み方もあるでよ」
片岡義男.comに公開されている作品は、2,200以上にもなっている。そのすべてが、よく知られた長編でも短編でもない。かつて、どこぞの雑誌の片隅に書き残された、ちょっとした文章もあるのだ。それを目にし、読む人なぞ、もはやいないと言われても仕方ない。でも、こつこつとやっている。それが片岡義男.comなんだ。
こんな作品を一つ読んでみる。『この演奏がいまも聴こえる 戦いの歌はこうして解放されていく』。真っ先に目に入ったタイトルだ。「ハワイ語による原題を片仮名で書くと、『タフワフワイ』。日本でかつて広く知られた題名は、『ハワイの戦争の歌』」。
何じゃいと思って〝ハワイの戦争の歌〟をセレクトしてGoogle検索してみる。いろいろ出てくる。これを押して、ギターの物悲しきつまびきを聴く。あーなんか聴いたことあるなぁ、と。
Google検索の横には、ChatGPTがハワイの戦争の歌について助太刀するように解釈をよこす。
1.”Aloha Oe"(アロハ・オエ) - クイーン・リリウオカラニ(Queen Liliuokalani)の作曲
2."Pearl Harbor Blues"(パールハーバーブルース) - ジョニー・ウェイト(Johnny Wright)の曲
3."Hawaii 78" (ハワイ78) - イズ(Israel Kamakawiwo'ole)が歌った曲
Romancerで作られた本文の最後に『バーニング・ビート』というジャズのLPに触れるところがある。このLPのB面の最後に、『タフワフワイ』が収録されている、とある。そしてジャケットの写真がついている。その写真から「BURNIN’ BEAT」という言葉をApple Musicに入れてみたら、なんとばっちり、その曲が聴ける。
もう誰も振り向くこともない欠片(かけら)のように記された音楽の名前が、今こうして私たちの耳に届いてくる。欠片なんかじゃない。読んでごらんよ、聴いてごらんよ、言葉と音はかくも強かに、私たちの心に響いていくものなんだ。がんばれ、片岡義男.com!
片岡義男全著作電子化計画プロデューサー 萩野正昭
2023年6月8日 18:20 | 片岡ニュース
次の記事へ