写真集『東京のクリームソーダ』（光琳社出版／1998年）を本日公開いたしました。

片岡義男の写真撮影スタイルには独特のものがある。一眼レフカメラに１種類のレンズを付け、交換レンズは持ち歩かない。フィルムをポケットに入れ、できるだけ「軽い」装備で歩き回る。レンズ交換はせず、日ごとに50ミリの日、35ミリの日、などと画角の異なるレンズを写真機ごと使い分ける。ただしフィルムだけはいろんな種類を満遍なく使うという。そうやって撮影され、この写真集に収録された300点の写真のうち、そのほとんどはオリンパスのOM-1に50ミリの標準レンズで撮影されたものだ。
そうやって撮った写真をつくづくと観察すると、まざまざとわかるものがあるという。なにがわかるのか。食べることを絶対の中心にして日常は営まれているという事実だ。そして写真で切り取ることで現実を現実のままに受けとめるのでなく、少しだけ非現実のほうに寄せる、つまり虚構へと転換させることで、実は現実をより深く見ることが可能になるのだ。

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