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連作短編「グッドラックとしか言いようがない」から『鏡に囁く彼女』を公開

連作短編小説「グッドラックとしか言いようがない」(『マガジン・ノン』祥伝社/1985〜86年)から最終話『鏡に囁く彼女』を本日公開しました。

 今回、バーで中野裕司が待ち合わせた女性は、友人に「ちょっと変わった、おかしな女性だが、その変わり具合はおまえの好みであるはず」と紹介された美貴子。美人で姿がよく、品がある。その変わり具合とは、スライドで自分自身の写真を自分で撮影するという趣味を持っている、という点だった。バーに来る前にDPE店から引き取ってきたというスライドには、裕司の想像をはるかに超えた、美しい美貴子のさまざまなショットが写っていた。彼女はカメラのフィルムを鏡の代わりにして、自分をありとあらゆる角度から見たいのだという。
「いったん、すこしだけ見てしまうと、次には、もっと見たくなりますよね」
「そうです」
「そしてその次には、もっと、もっと、見たくなっていくでしょう」
「そのとおりです」
そんな美貴子に対して、裕司は「自分一人では撮れない姿」を自分が撮影しよう、と提案する。彼女も面白がって賛同した、その具体的な内容とは……。

(『マガジン・ノン』1986年3月号掲載)

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2023年1月20日 00:00 | 電子化計画

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