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連作短編「グッドラックとしか言いようがない」から『水着を着てみる彼女』を公開

連作短編小説「グッドラックとしか言いようがない」(『マガジン・ノン』祥伝社/1985〜86年)から『水着を着てみる彼女』を本日公開しました。

 冬のある日、水谷雪子の買い物に付き合っていた中野裕司が外に出ると、白い雪が舞い降りてきた。雪が似合う人には他のたいていのものが似合う、と言う裕司に、雪子は今年の夏用に水着を買ってきたことを話す。裕司はそれが似合うかどうか判定してみようと提案し、海の近くにある叔父の別荘へと彼女を誘う。空気の澄んだ冬の晴れの日、別荘の2階でコーヒーを飲み、裕司は言う。
「陽が射し込んでいるうちに、水着がきみにどのくらい似合うか、判定しておこう」
2杯目のコーヒーを持って現れた雪子は水着に着替えていた。その姿は美しかった。まるで計ったようにきれいにバランスのとれた身体は、すんなりとくせがなく、同時に優しい色気のようなものをたたえていた。
「さがしあてるのに苦労したのよ」
雪子は言った。

(『マガジン・ノン』1986年1月号掲載)

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2023年1月6日 00:00 | 電子化計画

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