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連作短編「グッドラックとしか言いようがない」から『蛇の目をさす彼女』を公開

連作短編小説「グッドラックとしか言いようがない」(『マガジン・ノン』祥伝社/1985〜86年)から『蛇の目をさす彼女』を本日公開しました。

 日本列島は雨が降るだろう、という天気予報の出ていた連休2日目の土曜日、中野祐司は京都観光を終えた幼なじみの三津子と、彼女が通う東京の大学の友人2人を3600ccのセダンに乗せ、京都駅へと向かっていた。昨日はこの車で1日、京都の街を彼女たちに案内していたのだ。三津子ともうひとりの彼女は東京へ帰り、祐司は残ったもうひとりの女性・恭子と明日の午後に会うことを約束する。次の日、祐司は蛇の目を購入し恭子が泊まっているホテルのクロークに預ける。それは今日が誕生日の恭子にプレゼントするためのものだったが、市内を巡っていても雨は降ってこない。やむなく四条烏丸の交差点で、祐司は恭子にプレゼントのことを話す。
「今日は、恭子さんの誕生日ですね」
「そうよ」
「プレゼントが、買ってあるのです……。雨が降ったら言おうと思っていたのですが、なかなか降らないので」

(『マガジン・ノン』1985年5月号掲載)

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2022年12月2日 00:00 | 電子化計画