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エッセイ『すでに遥か彼方』より5作品を公開

エッセイ『すでに遥か彼方』(角川文庫/1985年)より5作品を本日公開いたしました。

 ライティング・ビューロー(引き出し付き書台)の引き出しから偶然見つけた、小さなブリキ缶。その中には7枚のスライドが入っている。すべてコダクローム64のリヴァーサル・フィルムだ。カメラは何を被写体に選ぼうと、写されたものは24ミリ×36ミリという二次元に変化してしまう。しかし光源を得たスライド・ヴューアーのレンズ越しに覗いていると、その世界はやがて三次元の空間を獲得し直していく。やがてその空間の中に自分自身も入っていき、撮影当時の状況がまるで昨日のことのように甦ってくる。あのとき、私はステーション・ワゴンのドアにもたれて、彼女を待っていた。このスライドに写っている彼女だ。

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 アメリカ製のキャンディ・バー(スナックバー)の味や香りは、本当にアメリカそのものだ。1920〜30年代の味と香りをほとんど保ち続けている、伝統的ブランドの製品がいくつもある。もしアメリカらしさの1位に立つものを探すとしたら、トゥートシー・ロールやミルキー・ウェイなどのキャンディー・バーになるだろう。チョコレートを土台にした甘いキャンディを、一般的アメリカ人はクイック・エナジー・ピックアップとして、立派なアメリカン・フードだと考えていたという。その原点は、1894年に世に出た、ハーシーのミルク・チョコレートおよびミルク・チョコレート・ウィズ・アーモンドの、二種類のチョコレート・バーだという。

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 ぼくはジョークが大好きだ。ジョーク・ブックのようなものをブックストアで見かけると、必ず買う。カートゥーンも好きなのだが、最近のアメリカにはカートゥーンがすくないので残念だ。ジョークは日常から一瞬にして非日常の不条理のようなところへ飛ぶところがとりえだ。だからあまり上品でなくても、たいへん結構だとぼくは思う。ボブ・ホープのようにジョークの上手い人も好きだ。

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 仕事でやってきた、東京から直線で300キロほど離れた地方都市。明後日の週末には、彼女と会う約束があった。この週末を彼女とどう過ごすか……。急いで東京へ帰るよりも魅力的なやりかたはないかと考え、待ち合わせ場所を東京の外に移すことを考えた。金曜日の午後に汽車に乗り、2時間ほどで着ける場所。ロードマップを手に、選んだ場所は軽井沢。冬の始まりの今の時期なら、かなり良いのではないだろうか。ぼくのその提案に彼女は美しく賛成してくれた。

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 ついさっき手元に届いたアメリカの『ニューヨーカー』誌にたいへん面白いカートゥーンがあった。受け皿に乗ったスープ皿のわきにスプーンが添えてある有様が、簡にして要を得た大人のタッチで描かれている。そのスプーンの左、真ん中、右のそれぞれ矢印があり、それぞれに一言づつ添えてある。そして全体を締めくくるキャプションを見たぼくは笑ってしまった。

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2022年10月11日 00:00 | 電子化計画

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