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小説『コミックス作家 川村リリカ』より4作品を公開

小説『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社/2020年)より4作品を本日公開いたしました。

ある日、川村リリカの部屋に、旧知の仲で洋食店で働く村田雄造がやってくる。実家がリフォーム中で寝る場所がなく、4〜5日泊めて欲しいという。村田は編集者で親友の野崎百合子と同様に、リリカが男言葉で話せる間柄だ。村田もリリカが半裸であることを全く気にしない。勤務先の店が定休日だという村田に、リリカは何か夕食を作ってくれるよう頼む。手元の材料で村田が作ったのはスパゲッティ・プッタネスカ(娼婦風のパスタ)。リリカはその絶品とも言えるプッタネスカから、新たな連載2回分の物語を構想していく。

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雨模様の5月半ば、電話で打ち合わせとも雑談ともつかない話をする川村リリカと編集者の野崎百合子。リリカの手元にはAPS−3という競技用のエアー・ソフト・ガンがあり、それを連載中のコミックスのどれかに登場させるつもりだ。標的には何を持ってくれば面白いのか、登場する女性にはどんな服を着せるか……。電話を終えた後、リリカはBlue Mondayという平凡な言葉から連載の1回分を引き出そうとする。物語の最後の場面を思い浮かべつつ、論理に破綻がないよう細心の注意を払いながらリリカは『青い色にからめ捕られて』という物語を形作っていく。

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出張先のホテルの一室で新たなストーリーをノートブックに書き留めていく川村リリカ。ストーリーとそれに対する自分の感想を、ひとつのノートブックに併記していくのが、いつもの彼女のやりかただ。こうすることで新たに得るものがたくさんあるのだ。翌日、東京の喫茶店で編集者の野崎百合子と会ったリリカは、数日前に同じ喫茶店で、夕刊新聞の編集者・佐々木直行から毎回1カットの連載イラストの依頼があったことを話す。佐々木は高校3年の時、リリカと同じクラスで、その店の常連でもあった。

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暗い雨の日、川村リリカと野崎百合子はいつもの仕事場で、いつものように作品のアイデアを話し合う。お互いに半裸でウイスキー入りのコカコーラを飲みながら……。リリカの母親から来た手紙をヒントに、瀬戸内の無人の島を舞台にした「瀬戸内迷路」、夕食の話から生まれた「昨日のカレーライス、今日の寿司」、「今日この頃です」、そして「雨のコカコーラ」。2人の会話からは次々と作品のタイトル、そしてそのストーリーが溢れ出してくる。「題名を作るとは、ストーリーを作る、ということでもあるんだ」という百合子の言葉はまさにひとつの真実を表している。

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2022年7月15日 00:00 | 電子化計画

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