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戦争のはじまり、戦争のおわり

今年、2021年は太平洋戦争の開戦からちょうど80年目の年になります。日本とアメリカの戦争の火蓋を切ったのは、日本軍によるハワイ・オアフ島の真珠湾にあったアメリカ海軍太平洋艦隊とその基地への奇襲攻撃でした。その真珠湾は今、どうなっているのか。本日、トップページに並んだ片岡義男のエッセイとともに、どうぞこちらもお読みください。

ハワイを訪れる日本の観光客は復活したでしょうか? なにを目指してそこへ人は向かうのか。まさかパールハーバーという人はありますまい。真珠湾攻撃から80年になる今、話の上だけでもその場所を訪ねた気持ちにして差し上げましょう。

ホノルルからバスに乗って30分ほど、のどかな南国の道を通り抜けついたところは戦争記念館。
入り口でチケットを購入し、案内されるのは100人ほど収容のホールです。スクリーンにやがて激しい戦闘の映像が流れます。イヤというほど日本の卑劣さを叫ぶ解説が続きます。その場にいる日本人であれば殴られでもしたように、正視できない程に誰でもだんだんと頭が下がっていきます。やっと終わってほっとするや、バーンとホールの横サイドが全開して明るい日差しが飛び込みます。そこは岸壁でボートが繋がれています。ホールの人々は全員がこのボートに乗り込みます。

10分ほどでしょうか、日本軍に撃沈された戦艦アリゾナ記念館に到着します。戦艦アリゾナを跨ぐように記念館は造られています。海上を見れば、水中に鉄の構造物の存在を目にします。いまだに油膜が滲み出て、その虹色の屈折光が見てとれます。ここが日米、戦争の起こりです。

沈没した戦艦アリゾナの舳先を眺めます。実際にはその方向の彼方を見るのです。なんと見えるのは一艘の軍艦ミズーリです。こちらに舳先を向けてそこに在ります。私たち日本はミズーリ甲板上で降伏の文書に署名しました。戦争の起こりと、戦争の終わり、原因と結果の二つが向き合っているのです。これがパールハーバーです。

1970年、真珠湾攻撃をテーマにしたアメリカ映画『トラ・トラ・トラ!』が公開されました。この映画の原形となったシナリオ『虎 虎 虎』は当初日本側の監督であった黒澤 明が脚本家の小國英雄、菊島隆三と共に書きあげたものです。このシナリオを11月20日(土)から12月31日(金)まで期間限定で公開いたします。詳しくはこちらをどうぞ。

シナリオ準備稿『虎 虎 虎』特設サイト

2021年11月19日 00:00 | 片岡ニュース

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