『少女時代』目次
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『少女時代』は全篇書き下ろし作品として1990年12月に双葉社から刊行されました。その後、1993年5月に『真夏の夜の真実』『いなくなりたい』の2作品を追加し、双葉文庫として刊行されました。
本書を読み終わり、読後の感触にひたっているとき、この本を送ってくれた年上の女性が電話をくれた。たった今、『少女時代』を読み終わったことを告げ、この本について考えてみたい、とぼくが言うと、「その作業に、わたしもつき合います」と、彼女は言った。
「ドラマの『女子高生』たちと、『少女時代』の彼女たちはどこが違っているのかを、具体的に指摘してください」
「『少女時代』の彼女たちには、匂いがない。たとえば、電車に乗っている『女子高生』たちが発散している、シャンプーやリンスのような人工的で安い香りは、彼女たちからは感じられない」と、ぼくはこたえた。
「それはどういうことかと言えば、彼女たちが、現実の社会から離れているということなのでしょう」
「ぼくにも、少し見えた気がする。彼女たちは、日本の社会的な規範や常識とは、別なところで存在しているのですね?」
「別というより、無関係、と言ったほうが正しいでしょう。彼女たちは、存在のありかたとして、完全にセルフ・メイドなのです。学校、少女漫画、アイドル、ロック歌手、そういう猥雑なものを一切拒絶してしまった次元で、自己ができ上がっている人たちなのです。親でさえ、学校や社会に繋がる糸として、彼女たちは、否定しています」
「身のまわりのことを判断するのに、彼女たちには、自身でつくり上げた価値基準が、強力に働きかけるわけだ?」
「その通り。あの子がこう言っているから、わたしもそうなのかもしれない。一緒に手を取って涙しよう、などという、自分を押し下げるような行為は、決してしないのです」
「大人たちが、あるいは、その社会が無言で押しつけてくる観念など、まっこうから信用していない」
(堀内貴和/文庫版解説より)
1990年単行本版
1993年文庫版
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