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評論・エッセイ

焼き餃子とタンメンの発見

 焼き餃子とタンメンは、東京・大田区の町工場地帯が発祥の地だと、ごく最近、人から聞いた。その人は戦後の大田区に生まれ、そこで育った人だ。地元の戦後史はよく知っているし、趣味で研究もしている。彼がそう言うからには、彼なりの確かな根拠があるのだろう。少なくとも僕にとっては、やはりそうだったかと、たいへんすんなりと納得の出来る説だ。したがって、焼き餃子とタンメンは戦後の大田区の町工場地帯で生まれたものである、という彼の説を僕は信じているし、いま書いているこの文章は、その上に立っている。
 戦後の復興とそれに続いた高度経済成長と…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年
初出:月刊「遊歩人」2004年12月号 文源庫

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