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エッセイ

白い皿の朝食

 僕は目を覚ます。ベッドのなかだ。窓のない寝室はほの暗い。ほの暗い寝室というものは、時間の推移に沿うことを放棄している。一日という時間のなかの、いまが何時頃なのか、見当がつかない。
 いちおうはよく眠った、という感覚が僕の全身にある。だからいまは朝なのだ。朝の、何時なのか。それはわからない。要するに朝だ。まだ朝なのか。自分にとってこの朝は、いったい何度めの朝なのか。朝であることに、どれほどの意味があるのか。朝とは、なにか。朝だから、それがどうしたというのか。
 僕はベッドに起き上がる。そしてため息をつく。ベ…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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