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評論・エッセイ

「わからない」と答える人たち

 アメリカとイギリスがイラクに対しておこなう戦争を、日本が支持することについてどう思うかというアンケート調査に、「わからない」と答えた人たちの数が半数を越えていた。やっかいな問題であることは確かだが、いくら考えてもわからないきわめつきの難問、というようなものではない。正しい歴史観の上に立ち、深く正確な知識に支えられて健全な論理の道筋をたどるなら、「わからない」という答えはまずあり得ない。
 それなのになぜ「わからない」のかというと、考えてないからだ。なぜ考えてないのか、その理由はきわめて単純なものだ。考えられないからだ。…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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