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評論・エッセイ

ビートルズ詩集とはなにか

 久しぶりに会う友人の編集者は、僕が知っているとおりの彼だった。雰囲気、身のこなし、表情、そして笑顔や言葉など、なにひとつ変わらず、そのことは僕をうれしい気持ちにさせた。彼と落ち合ったのが経堂駅のすぐ近くにある素晴らしい鮨の店だったから、うれしい気持ちはより高まった。カウンターの席で僕の右隣りにすわると同時に、
「こんなのを見つけた」
 と言って、一冊の古い雑誌を彼は僕に差し出した。
「神保町の古書店の店先に段ボールの箱が出ていて、そのなかにあった一冊。百円だった」
『ユリイカ』…

底本:『フリースタイル』2016年6月

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