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エッセイ

あの路地にいまも昔の自分はいるか

 神保町の三省堂の前を西へ通り過ぎ、左の脇道に入ってすぐ右側、すずらん通りへ出る手前に、西へのびる短い路地がある。この路地に入ると、そこには出会うものがたくさんある。僕は大学生だった頃からフリーランスのライターでもあった。十年以上の時間を僕はライターで過ごし、仕事の本拠地は神保町だった。いたるところにあった喫茶店でさまざまな打ち合わせをし、ひとりになると喫茶店をはしごしながら、いろんな原稿を書いた。
 そのような喫茶店が二軒、この路地のなかにいまもある。外観や店内、テーブル、コーヒーなど、昔とまったく変わっていない。自分…

底本:『Honda Magazine』2017年 Summer

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