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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

最初から絶対に孤独な人たち

 映画『ぼくの美しい人だから』の原作『ホワイト・パラス』(邦訳は新潮文庫『ぼくの美しい人だから』)のことを、ぼくはイギリス版の『エル』に掲載されていた紹介記事で知った。もう二年ほどまえのことだ。この小説は面白そうだ、ぜひとも手に入れて読んでみよう、と思ってそのまま忘れてしまった。そしてある日、書店の棚で『ホワイト・パラス』のペーパーバックを僕は見つけた。すぐに読んでみた。たいへんに面白かった。自分でもこんな小説を書きたい、と思ったほどに面白かった。
 生まれ育った背景も、受けた教育も手に入れた世界観も、そして現在の生活の…

底本:『ノートブックに誘惑された』角川文庫 1992年

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