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評論・エッセイ

『彼のオートバイ、彼女の島 2』

 一九八六年の三月の刊行で、僕は『彼のオートバイ、彼女の島 2』という文庫を、角川文庫に書き下ろしている。これがどのような試みであるのかについて、僕はまえがきで簡単に書いている。その全文を採録する。このような試みは、内容はともかくかたちだけを採り上げても、驚きに値するのではないだろうか。自分がかつて書いた小説を原作のようにして、頭のなかで一本の映画を作り、それをおなじく頭のなかで上映し、スクリーンに映し出されていくのをそのまま描写して一編の中編小説とする、という試みだ。
 文庫の量販体制のなかで、とにかく新刊を次々に出し…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』1996年所収

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