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評論・エッセイ

メモリアル・デイにまた泣く

この作品は、『日本語の外へ』「第1部 アメリカ──湾岸戦争を観察した」
に収録されたものです。
 サダムに対してブッシュ大統領は最初からたいへんに強硬だった。その強硬さは、少なくともアメリカの勝利と停戦までは、まったく変わることなく維持された。ひとつの国の元首に対して、別の国の元首がこのような言葉づかいや態度を取り続けることが、自由や民主という正義を守ることにつながるのだろうか、と僕は疑問に思った。サダムの側における裁量や判断はいっさい許さず、自分たちの側の決断だけを、ブッシュ大統領は強行した。交渉やフェイ…

底本:『日本語の外へ』角川文庫 2003年
『日本語の外へ』筑摩書房 1997年

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