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書評

三角形は不思議で美しく、そして怖い

〈書評〉細矢治夫著『三角形の七不思議』

 僕がまだ学童だった頃、支給されたのかそれとも買ったのか、良き学童が持つべき学用品が何種類かあり、どれもみな平々凡々たるもので学童の興味は惹かなかったが、ふたつでひと組の三角定規だけは別だった。このふたつの三角定規は、どこか変だった。なんのために、どう使うものなのか。なぜ三角形がふたつなのか。遊び道具としては不十分つまり遊べず、いつまでたってもなじめないのが、ふたつの三角定規だった。
『三角形の七不思議』という本を読んで、以上のような遠い昔のことを思い…

底本:『週刊朝日』2013年11月15日号

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