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書評

自己都合の神などそもそも居場所はない

〈書評〉土井健司著『キリスト教は戦争好きか キリスト教的思考入門』

 人と人との関係はいまごく部分的な要素だけで成立している。かろうじて維持している役割、機能、立場などだけで、人は人との関係を作っている。いまの日本ではこの印象がひときわ強い。平和と資本主義に支えられた自由競争の網の目が社会として構築されていて、その網の目のどこかに人はひっかかっているからだ。ひっかかっていない人も多い。
 人とは関係だ。人とはおたがいのことだ、と言ってもいい。おたがいとは、自分という存在に対する他者の存在のこ…

底本:『週刊朝日』2012年6月29日号

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