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 このTシャツは一九六八年頃にホノルルで買ったものだ。タグにはクレイジー・シャツ・ワイキキとあり、ブランド名はポロとなっている。クレイジー・シャツのごく初期の製品だろう、と僕は見当をつけている。ラルフ・ローレンのポロとはなんの関係もなく、有名なブランド名を流用したわけでもないはずだ。当時すでにラルフ・ローレンのポロは存在していたと思うが、いまのように広く知られた名前ではなく、真似したところでどうなるものでもなかった。それに日本からの観光客はまだごく少なかったのだし。

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 赤丸は日本国旗の日の丸の引用だろう。その赤丸を縦にぶち抜いて、毛筆体の文字も黒々と、日本製、という言葉が目に鮮やかだ。一九六十年代の終わり頃には、光学製品とオーディオ製品を中心にして、日本の製品が大量にアメリカの一般市場に登場していた時代だ。日本製は目立ち始めていた。その事実をこのTシャツはあらわしている、と僕は思う。

 日本製、と書かれた文字は、毛筆の感じを出してはいる。毛筆でなんとかこのくらいには書ける人が書いたものを、なにも知識のない人が模写したか、あるいはトレースしたものではないか。二、三年あとにラハイナでも、おなじ文字を使った同一デザインのTシャツを僕は買った。このTシャツにはクレイジー・シャツのタグはなく、既製品のTシャツにプリントしただけのものだった。初めに買ったほうのは、日の丸がゆがんでいた。ふたつに折ってフリー・ハンドで半円を切り抜き、それを広げたとおぼしき出来ばえだった。あとで買ったほうの日の丸は、コンパスで描いた正確な円となっていた。

 漢字Tシャツの、これはおそらく最初のものだろう。漢字をあしらったTシャツで、これ以前のものを僕は知らない。大名、忍者、虹、江戸、城、東京、営業部、首都圏、などといった漢字をデザインしたTシャツが、しばらく前のアメリカで、少しだけ人気を得た。いまはどうなっているのだろうか。

 右ページの写真は、左ページにあるTシャツを買った頃の、ホノルルのダウンタウンの光景だ。僕自身が撮影したものをプリントし、ほどよく褪色したのを三枚、つなぎあわせたものだ。当時のサウス・キング・ストリートは、こんなふうだった。

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出典:『Free&Easy』2001年10月号


『Free&Easy』 アメリカの色とかたち
2018年1月1日 00:00
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