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評論・エッセイ

ピア・アンジェリ、一九五三年

『映画の友』の一九五三年九月号だ。透明なビニールにきっちりと包装され、古書店の棚に納まって確か千円だったと思う。活字びっしりで写真も多く、情報内容のたいそう豊富な様子は、表紙のいちばん上に英語でうたってある、「日本でもっとも先導的な映画雑誌」というフレーズそのままだ。このとき編集長はすでに淀川長治で、彼が大活躍で編集していた様子は、記事を拾い読みしただけですぐにわかる。

 この出来ばえの表紙を持った一冊の古雑誌、という興味から僕はこれを買った。きれいに晴れて陽ざしの美しい日の午後、僕は表紙を写真に撮って遊…

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