VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

古き佳きアメリカとはなにか

 ここにあるのは一九四一年のフォードの新車の広告だ。当時の雑誌に掲載されたものだが、この頃の雑誌広告の世界では、写真ではなく人が描いた絵が、グラフィックスの中心だった。カラー写真が広告に盛んに使われるようになったのは、戦後のことだ。
 近隣や地域社会という、まさに絵に描いたような当時のアメリカの草の根が、颯爽とそこに登場したフォードの新車によって、さらによりいっそう結束を固くしていくという主題で貫かれた、シリーズのような広告だ。

 不干渉による孤立をきめこんでいたアメリカは、ヨーロッパにおけ…

このエントリーをはてなブックマークに追加