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評論・エッセイ

身のうえ話 その1

 小学校に入学する日、つまり入学式の日、ぼくは生まれてはじめて、学校の校舎というものを見た。
 木造の大きなその建物をひとめ見たとたんに感じたことを、いまでも思いだすことができる。
「これはぼくの好きなものではない」
 と、ぼくは、子供心に、思った。
 小学校の校舎をはじめて見たその瞬間、なぜぼくはそれが嫌いになったのだろうか。
 どっしりと頑丈につくった、かなり威圧的な雰囲気をたたえていた校舎ぜんたいに対して、反発をおぼえたからかもしれない。
 校舎…

底本:『ターザンが教えてくれた』角川文庫 1982年

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