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東京の情緒

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 大卒で会社に入り、そのまま従来どおりの定年まで会社勤めをまっとうしたとして、人生七十年のほぼ半分を、その人はサラリーマンとして過ごすことになる。その場所がずっと東京だったら、この二ページ*にあるような光景は、自分と深く結びついて分かちがたく、定年を迎える頃には自分の一部分のように思えるまでに、なっているのではないか。

      

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 毎日飽きるほど見てるんだ、なにをいまさら写真を見せられなくてはいけないんだ、という意見はあっていいけれど、なんらかの事情で不本意にも会社勤めを中断しなくてはならなくなってから、あらためてこのような光景をつくづく眺めると、これこそ東京の情緒だ、この情緒のただなかに自分はどっぷりと身をひたして日々を送っていたのだという思いに、胸はいっぱい、感無量となる人は多いだろう。

 サラリーマンという仕事も生きかたも、いま急速に消滅しつつある。だからこのようなサラリーマンの世界も、東京からおそらくあっと言うまに一掃されてしまうだろう、と僕は予感している。じっくりと見て記憶に刻んでおくのは、いまのうちなのだ。

(2017年3月30日掲載、『ホームタウン東京−どこにもない故郷を探す』2003年所収 *書籍収録時のページ数を原文のまま掲載しています。

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2003年 『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』 会社員 写真 提灯 東京
2017年3月30日 05:30
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