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夏の陽ざしとモノクロームの街

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170724_夏の陽ざしとモノクロームの街

 白と黒、そしてその中間にある無限階調、つまりさまざまな灰色だけで出来ている街というものを、夏の光のなかで夢想するのは楽しいものだ。白黒のフィルムで撮影するなら、どこのどのような街も、モノクロームの街になる。しかしそれは、いくら精密ではあっても、三十五ミリ・フィルムのなかの小さな二次元でしかない。

 現実の三次元の街でありつつ、白と黒、そしてさまざまな灰色以外の色を、まったく持っていない街。夏の光が降り注ぐときにそこを歩いたなら、どんな気持ちになるか。いつもとたいして変わらないだろうか。それとも、なにかに脅迫されているような、妙に落ち着かない心理状態へと、少しずつ落ちていくのだろうか。そこを歩いていて、写真を撮りたくなるだろうか。使うのはカラー・フィルムか、それとも白黒なのか。一〇二ページ*〔写真・右〕と一〇三ページ〔左〕にある光景を夏の光のなかで撮ったとき、僕の気持ちは鎮静されきっていた。モノクロの街を歩くと、これとは正反対の心理状態となるのではないか。

(底本:『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』ちくま文庫 二〇〇三年 *書籍収録時のページ数を原文のまま掲載しています)

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