『夕陽に赤い帆』目次
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『夕陽に赤い帆』は1981年4月に角川文庫から刊行されました。収録作品のうち表題作の『夕陽に赤い帆』は雑誌「小説推理」に、『昨日は雨を聴いた』『オレンジ・ペコ、午前八時』は雑誌「宝島」に、『結婚記念日』『ハイビスカス・ジャム』は雑誌「ブルータス」に掲載されたものです。なお『バドワイザーの8オンス罐』は文庫のための書き下ろしです。
片岡義男が、たとえば情事を描くとする。彼は、情事だけをきれいに切りとり、世間とのつながりのようなものをすべて断ったところで、したがってきわめてセクシーに、描いてくれるだろう。本書に入っている『バドワイザーの8オンス権』など、片岡義男のファンタジーのそうしたあり方が、さりげなく出ている一例ではないだろうか。
官能のファンタジーの純度を高くするために必要なもの、たとえば彼の文体についてよく言われるカメラ・アイとか乾いた抒情性、ハードボイルド、アメリカの雰囲気、洒落た会話などは、ようするに彼にとっては道具なのであり、必要な道具を正しい使い方で過不足なく使っているにすぎない。
技法としては、読むこと自体が快感であるような写実的で映像的な文体であり、ファンタジーにとってぜったいに必要なぜいたくさをいくらでも持っているから、片岡義男の小説世界は、あとをひいてしまう。(古屋知子/文庫解説より)
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