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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

絵本、というかたちのなかで

 子供用とは言いがたい出来ばえの絵本、とも呼ぶべき種類の絵本が、絵本の世界にはたくさんある。
 僕は子供用というような言葉を、本来は使いたくない。子供は大人たちが思っているより、はるかに鋭い。その鋭さを、経過していく時間のなかでほとんどなくしてしまった人たちが、じつはいわゆる大人たちだと、僕は思っている。だから子供用という言葉をごく仮に使うなら、これまで五章にわたって(※)とりあげてきた絵本は、すべて子供用だと言っていい。(※『小さな本のなかの、愛すべき仕掛け』『リトル・ゴールデン・ブックスをめぐる日々』『擬人化されて絵本…

底本:『絵本についての、僕の本』(第六章)研究社出版 一九九三年

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