すべては日常から始まる
こうして英語の絵本を何冊も見ていくうちに、やがてはっきりとわかって来るひとつのことに、僕は気づく。なにが、どんなふうに、わかって来るのか。
絵本というものは、そのなかに使う文や絵を描く人たち、そしてそれらを一冊の本にまとめていく編集者たちが持っている、個人的な才能を出発点としている。その才能はきわめて個人的なものであるから、才能とは言わずに主観と言ってもいいほどだ。その主観ないしは才能が、一冊の絵本として出版され、強い影響力とともに広く世のなかに出ていく。出版されるということは、作家や詩人そして画家たちの個人的な才能な…
底本:『絵本についての、僕の本』(第四章)研究社出版 一九九三年
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