VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

書評

擬人化されて絵本の主人公になる

 絵本というかたちをとってなにごとかを描き、そして書こうとするとき、数多くの描き手あるいは書き手たちによって、これまでもっとも頻繁に採択されてきたのは、擬人法という手法だろう。絵本は擬人法の宝庫だ。その宝庫のなかでは、ありとあらゆるものが、すでに擬人化されているはずだ。
 なにがどんなふうに擬人化されているのか、無理せずに手の届く範囲のなかで、これは擬人化の見本としてとらえるといいと僕が思った絵本を、僕はひとまとめにしてみた。冬のよく晴れた日の静かな午後を、バブルの崩壊からも不況の世のなかからも遠く離れて、僕は何冊もの絵本…

底本:『絵本についての、僕の本』(第三章)研究社出版 一九九三年

このエントリーをはてなブックマークに追加