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書評

小さな本のなかの、愛すべき仕掛け

 僕が持っているもっとも小さい絵本は、二冊のフリップ・ブックだ。日本語ではなんと言えばいいのだろうか。フリップ・ブックというものが日本にはもうないと言っていいから、したがって言葉も消えたにちがいない。僕が子供の頃には、子供の雑誌のおまけなどに、フリップ・ブックは活躍していた。呼び名もきちんとあったはずだが、僕は記憶していない。無理に思い出そうとすると、パラパラ本、などという言葉が浮かんで来たりする。フリップ・ブックという英語に、パラパラ本という日本語の言いかたは、正確に対応している。フリップ・ブックは、フリック・ブックとも言う。
底本:『絵本についての、僕の本』(第一章)研究社出版 一九九三年

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