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評論・エッセイ

吉永小百合の映画 『闇に流れる口笛』

『闇に流れる口笛』に登場する吉永小百合の髪を見るといい。令嬢という固定観念に基づいて作った髪だから、吉永本人に似合うかどうかは、まったく考慮されていない。ただ一つの方向にむけて、きちっと抑えつけられたような髪だ。もっと自由な髪が似合うと僕は思う。これが自分だ、と言い切れる状況や生きかた、つまり自分のアイデンティティへの忠実さが、彼女にはもっとも良く似合う。

底本:『吉永小百合の映画』東京書籍 二〇〇四年

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