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評論・エッセイ

映画の中の昭和30年代 『妻の心』

『晩菊』『驟雨』そして、今回の主題となる『妻の心』と、片岡義男によると「上手く終わらせられていない」映画が続く。そして片岡義男は『驟雨』に於いては自分なりのラストシーンまで書いてしまう。『妻の心』でも、片岡は、登場人物たちをどう配置すればよいのかについて考察する。その一方で、片岡は、この映画に於ける成瀬演出がいかに完璧であるかを論じ、さらに役者の演技技術の見事さと、見事な演技とはどういうことかを詳細に語っていく。そして、演出と演技と、中古智によるセットが組み合わさることから作り出される空間のリアリティがストーリーに与える影響こそが映画…

底本:『映画の中の昭和30年代──成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』草思社 二〇〇七年

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