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評論・エッセイ

映画の中の昭和30年代 『稲妻』

『稲妻』が素晴らしい映画であることは自明のものとして、片岡義男は、成瀬巳喜男による映画のセットが、映画にどのような効果を与えているか、そして、セットが作る空間こそが物語を語っているということを、具体例を示しながら丁寧に解説している。それは、片岡義男の小説が、何故、細かく間取りや窓の位置などを描写しているのか、人物が部屋のどこに立っているかを正確に書くのかについての解説にもなっている。フィクションを成立させるのは、空間の中が何で満たされているかを、きちんと伝える技術であるという、片岡義男流の物語の手法が、成瀬巳喜男の映画作りに重ねられて…

底本:『映画の中の昭和30年代──成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』草思社 二〇〇七年

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