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評論・エッセイ

映画の中の昭和30年代 『おかあさん』

『銀座化粧』『めし』と、当時の庶民生活における経済の問題を見てきた片岡義男は、折りにふれ「早いものねえ」という詠嘆が繰り返される『おかあさん』を、それらの延長として捉え、しかし時間は容赦なく流れていくことの悲しさを見る。では、その悲しさをどうすれば良いのかについては、次回の『稲妻』についての論考で書かれることになる。その前段として、生活の場としての「町」が抱えてしまった安心感と閉塞感についてまとめられているのが、この章ということになるだろう。映画そのものに関しては、あまり見るべきところが無かったのか、短い文章になっているけれど、それが…

底本:『映画の中の昭和30年代──成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』草思社 二〇〇七年

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