バターをつけシロップをかけたパンケーキを食べる人の、理想像の一例
「ジェマイマ伯母さん」というブランドのシロップの広告がここにある。「ジェマイマ伯母さん」印は僕が子供の頃にはすでに、たいへんにポピュラーなブランドとして、アメリカでは広く親しまれていた。僕がよく食べたのはパンケーキ・ミックスだった。
ジェマイマ伯母さんの顔つきが、すっかり変わってしまった。僕が子供だった頃には、そしてそれ以後もかなり長きにわたって、ジェマイマ伯母さんは見るからに黒人だった。つまり、類型化された黒人、というもののなかの、中年の料理番の伯母さんだった。そしてそれ以外の人には見えなかった。いまのジェマイマ伯母さ…
底本:『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版 一九九一年