手に入れた一軒の家は、アメリカの物語を自分たちもまた継承していく場所だ
リアルティ・ワールド・コーポレーション、という名の不動産会社の広告を、いま僕は見ている。自分の家を買いたい、売りたい、あるいは買い換えたい、と思っている人たちのための、イメージに訴えることを目的とした広告だ。
写真でとらえてあるのは、日本の言葉で簡単に言ってしまうなら、白いアメリカふうな家の玄関先だ。円柱がくっきりと純白に立ち、ポーチには揺り椅子が置いてある。ぜんたいを統一する白さのなかに、星条旗が美麗だ。
その美麗さを、そのまま信じていいものかどうか、現在ではかなり疑問だ。アメリカで日々を送っているごく…
底本:『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版 一九九一年