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評論・エッセイ

一九七四年のアメリカでは煙草を喫うことがまだ肯定的な意志の表明だった

 最新の雑誌ではなく、すくなくとも十年以上まえの雑誌のなかになにか興味深い広告はないだろうか、と僕は思った。一九七四年にアメリカで刊行された婦人雑誌を見ていたら、感銘的な広告をみつけることができた。
 この広告を、どうかじっくり観察していただきたい。僕も観察した。この一点の雑誌広告のなかに、一九七四年からこちらにむけての、アメリカにおける文化的な変化の時間の経過がある。R・J・レイノルズ煙草会社による、ウインストン・スーパー・キングという銘柄の煙草の広告だ。

 強い意志とそれによく釣り合った現実的…

底本:『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版 一九九一年

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