この広告は、『ニューヨーク』という雑誌に掲載されていたものだ。『ニューヨーク』は、タイトルのとおり、日本語で言うタウン誌だ。そのタウン誌に掲載された、ニューヨーカーによるニューヨーカーたちのための、ニューヨークについての広告だ。
　新聞を一部、半分にたたんだものをモノクロームであしらっただけの、一見したところ素っ気ない広告だが、世界に冠たる大都会を支える、知的なスタミナの土台には、こういう世界を欠かすことは絶対に出来ない。相場の情報が集まるとか、世界じゅうの料理を食べることが出来る、というようなことだけが都会ではない。<…

底本：『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版　一九九一年