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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

不自然なほどに白くて汚れのない歯をセクシーととらえる文化

 これはクロース・アップというブランド名の、練り歯みがきの広告だ。ごく普通の一般的な雑誌に掲載されていた。
 このような図柄の写真が、たとえば日本国内で、日本製の練り歯みがきの広告に登場する日がやがて来るだろうか。日本国内での歯みがきの広告を、僕は思い出そうとする。いつかTVで見たコマーシャルが、記憶のなかに浮かんでくる。へたな絵に描いたような、もはや誰も信じないような白々しい三人家族ないしは四人家族が、一列にならんでこちらをむき、全員がぐいぐいと歯ブラシで歯をみがいているコマーシャルだ。日本では歯みがきはまだご家族のもの…

底本:『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版 一九九一年

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