モノクロームによる写真が、スペースいっぱいにレイアウトしてある。広告すべき商品だけが、カラーではめこんである。商品の形は単純だし、色使いはおとなしいので、モノクロームのスペースのなかで商品は適度に目立ち、きれいにおさまっている。ヘッド・コピーとボディ・コピーとが、白く抜いてある。
　いい写真だなと、まず思う。適量の良いセンスと、おなじく適量のこまかな配慮が、写真ぜんたいにさりげなくおよんでいる。その結果として、写真は視覚的に心地良い。この一点の写真だけで勝負する広告だから、写真が良く出来ているのは当然だろうけれど、とにか…

底本：『シヴォレーで新聞配達──雑誌広告で読むアメリカ』研究社出版　一九九一年